
沖縄モズク由来フコイダンの胃ガン細胞株に対する抗腫瘍効果について
琉球大学大学院医学研究科感染制御医科学専攻病原生物学分野教授 森直樹
【目的】
胃ガンは胃粘膜表層に露出することから、直接の接触を介しての薬理効果も期待できる。そこで沖縄モズク由来フコイダンの胃ガン細胞株に対する抗腫瘍活性と、抗ガン剤との併用効果について検討し、その分子生物学的機序についての解析を行った。
【方法】
胃ガン細胞株はKATO V、MKN45、MKN28、MKN74、AZ-521、AGSを用いた。
細胞増殖、アポトーシスおよび細胞周期の解析はWST-8法、7A6抗原染色、PI染色で検討した。アポトーシスならびに細胞周期関連タンパク質の発現は、ウェスタンブロット法で解析した。ヌードマウスにMKN45を移植し、フコイダン経口投与およびシスプラチン腹腔内投与の単剤および併用による抗腫瘍効果を、腫瘍重量測定により解析した。
【結果】
フコイダンはすべての胃ガン細胞株の増殖を、濃度依存性に抑制した。またフコイダンは、シスプラチナによる細胞増殖の抑制を、濃度依存性に増強した。
フコイダンは胃ガン細胞株に細胞周期停止(G1期あるいはG2期停止)とアポトーシスを誘導し、シスプラチンにより細胞周期停止(G1期停止)とアポトーシス誘導を増強した。フコイダンは細胞周期関連タンパク質であるcyclinD1・D2・B、Cdk4・6の発現を抑制した。
一方、シスプラチンはcyclinD1・D2・B、Cdk4・6の発現を抑制し、p21やp53の発現を増強した。またフコイダンとシスプラチンの同時処理により、cyclinD1・D2・ B、Cdk4・6の発現は単剤処理の場合よりもさらに強く抑制された。
アポトーシス関連タンパク質の発現に関しては、フコイダンはBaxの発現を増強し、c-IAP2の発現を抑制した。一方、シスプラチンは上記タンパク質の発現変化に加えて、Bc1-2の発現も抑制した。
またフコイダンとシスプラチンの同時処理は、c-IAP2の発現を単剤処理時よりも抑制した。さらにフコイダンはヌードマウス移植胃ガン細胞株に対する抗腫瘍活性を示し、シスプラチンによる抗腫瘍活性を増強し、さらにシスプラチンの副作用である体重減少を抑制した。
【総括】
フコイダンは、cyclinD1・D2 、Cdk6の発現を抑制することで、細胞周期をG1(同注意)期に停止させ、cyclinBの発現を抑制することで細胞周期をG2期に停止させる。
さらにBaxの発現を増強し、c-IAP2の発現を抑制することで、胃ガン細胞株にアポトーシスを誘導する。フコイダンはシスプラチンの抗腫瘍活性を増強し、副作用を緩和することから、抗ガン剤との併用による胃ガン治療への可能性が示唆される。
