主な研究発表内容
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フコイダンが乳癌細胞に及ぼす生理機能(抗腫瘍効果)

奈良県立医科大学助教授 今井俊介先生

講演会のスライドより

フコイダンの癌細胞に及ぼす影響を見るために、今回は多くの研究で用いられているヒト乳癌細胞株のT47Dを用いて研究を行った。T47Dは1981年にイスラエルのKeydarにより54歳の浸潤性乳管癌患者の胸膜浸潤から分離・株化された代表的な培養細胞株である。

まずT47D培養株にフコイダンを添加後72時間インキュベートした後、全RNAを抽出して、それぞれのマーカーに応じてRT-PCR及びウエスタンブロッティング法を行った。なお、コントロールとしてはDMEM+10%FBS或いはSFDM(無血清培地)を用いた。
最初に、PCNA(増殖細胞核抗原)の発現をウエスタンブロッティング法で調べた。


講演会のスライドより

その結果、4μg/mlで蛋白発現の低下を認めた。PCNAは分子量36000の核蛋白質で、DNApolymeraseδのcofactorでSLE患者に特異的に見出されたが、現在では細胞分裂の旺盛な腫瘍細胞に検出されるものとされている。

P53の発現については、mRNAのレベルではあまり影響はなかった。蛋白質レベルでは2.5μg/mlではそれ程の影響はないものの、4μg/mlでは蛋白発現の低下を認めた。P53はヒトの癌の50%以上で変異の見られる癌抑制遺伝子で、分子量5.3万の蛋白質を作り核内に局在する。乳癌では20〜25%にP53遺伝子の変異が認められるとされている。


講演会のスライドより

エストロゲン受容体(estrogen receptor)に及ぼす影響については、2.5μg/ml及び4μg/mlとも、mRNAレベル、蛋白質の発現ともに明らかな低下を示した。このエストロゲン受容体は核内受容体スーパーファミリーに属し、エストロゲンと結合し、リガンド依存性の転写調節因子として働く。

チュブリン(tubulin)への影響を調べた結果では、2.5μg/ml及び4μg/mlとも、その蛋白質の発現は低下した。チュブリンはすべての細胞の骨格として形態維持、細胞内物質輸送や細胞分裂に大きく関わる蛋白質として知られている。


以上よりT47D培養株に対しては、フコイダンは、今回検討した総てのマーカーに対して抑制を示し、腫瘍細胞の分裂などその活発な活動を支えている種々の機能に対して良好な抑制効果を示した。

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