
フコイダン
フコイダン(Fucoidan)は生物界に広く分布する多糖(科学的にはフコースfucoseを主構成糖とした硫酸ヘテロ多糖)の一種で、中でも海藻多糖のフコイダンには強い抗ガン活用が確認されている。
海藻ではモズク、コンブ、ワカメなどの褐藻類に共通して見られるが、とくにオキナワモズク(西表島から奄美大島に至る海域の特産物でナガマツモ科。学名:Cladosiphone okamuranus TOKIDA)由来のフコイダンには、ガン細胞をアポトーシス(細胞の自殺)に誘導する作用、免疫賦活作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、抗肥満作用などが報告されている。
前骨髄性白血病細胞株(HL60)のアポトーシスの誘導 |
沖縄モズクとコンブのフコイダン、ならびにキノコエキスのアポトーシス誘導能をガン細胞HL60(前骨髄性白血病細胞株)を道いて比較した試験結果では、右図に見るとおりモズク由来フコイダンに最も高い作用が認められた。
肉腫 sarcoma-180の担癌マウスにおけるフコイダン含有食品の抗腫瘍作用
-低分子フコイダン及び高分子フコイダンの比較-
熊本県立大学環境共生学部 韓 立坤先生、奥田拓道先生 (2005,7)
目的:
今回、抗腫瘍効果があると言われている低分子フコイダン及び高分子フコイダンの抗腫瘍作用について検討したので報告する。
作用:
雄性マウス(5週齢、日本クレア)の皮下に肉腫sarcoma-180のガン細胞を移植して肉腫の発症を誘発させた。1群10匹ずつをコントロール、低分子 フコイダン(長崎産)(1.5mg/100ml及び3.0mg/100ml)及び高分子フコイダン(沖縄発酵化学産)(1.5mg/100ml及び3.0mg/100ml)の5群に分けて4週間 をわたって実験を行った。実験中に餌及び飲料水を自由に摂取させた。また、低分子フコイダン及び高分子フコイダンの検体溶液(1ml×2回/日)を マウスに強制的に経口投与した。
結果:
- 体重に及ぼす低分子フコイダン及び高分子フコイダン
の影響 飼育期間中に、マウスの体重変化において低分子フコイダン及び高分子フコイダンの経口投与によって有意な変化は認められなかった。 - 担癌マウスの腫瘍重量に及ぼすフコイダン及び高分子フコイダンの影響
コントロール群に比べて低分子フコイダンの1.5mg/100ml投与群及び3.0mg/100ml投与群では腫瘍重量の低下傾向がみられ、有意な変化は認められなかった。
一方、高分子フコイダン1.5mg/100ml投与群及び3.0mg/100ml投与群では腫瘍重量の有意な低化が認められた。 - 担癌マウスの脂肪組織重量、胸腺重量及び脾臓重量に及ぼす影響
脂肪組織重量においては、コントーロール群に比べて低分子フコイダン及び高分子フコイダンの投与群では低値を示したが、有意な変化は認められなかった。同様に胸腺重量及び脾臓重量においても有意な変化は認められなかった。 - 担癌マウスの白血球数及びリンパ球数に及ぼす影響
白血球数においては、コントロール群に比べて低分子フコイダン投与群で低値を示したが、有意な変化は認められなかった。高分子フコイダン投与群においても有意な変化は認められなかった。リンパ球数においては、コントロール群に比べて低分子フコイダン投与群で有意な変化は認められなかった。高分子フコイダン投与群で高値を示したが、有意な変化は認められなかった。
考察:
本実験においては、低分子フコイダンの投与に比べて、高分子フコイダン投与の方が肉腫sarcoma-180の担癌マウスの腫瘍重量をより強く低下した。低分子フコイダンの投与よりも、高分子フコイダン投与の方がより抗腫瘍効果を示した。今回、低分子フコイダン含有食品の投与群においても低い腫瘍重量を示したが、それは恐らく他の配合成分の作用によるものと考えられる。低分子フコイダン及び高分子フコイダンの各投与群においては、体重、脂肪組織重量、胸腺重量及び脾臓重量がいずれも有意な変化は認められなかった。また白血球数及びリンパ球数にも有意な変化は認められなかったことで、低分子フコイダン(弱い抗癌作用をもつ)及び高分子フコイダンには抗癌作用を持ちながら何らの副作用も示さなかったことを示した。
| 体重 g | 腫瘍 g | 脂肪組織 g | ||
| day 0 | day 28 | |||
| コントロール群 | 31.1±0.5 | 41.9±1.4 | 2.30±0.85 | 0.72±0.06 |
| 低分子フコイダン | ||||
| 1.3mg / 100ml | 30.3±0.4 | 39.6±1.5 | 1.46±1.04 | 0.63±0.05 |
| 3.0mg / 100ml | 31.2±0.4 | 40.5±1.3 | 1.66±0.80 | 0.68±0.09 |
| 高分子フコイダン | ||||
| 1.5mg / 100ml | 29.6±0.7 | 39.0±0.8 | 0.65±0.38 | 0.61±0.04 |
| 3.0mg / 100ml | 30.7±0.5 | 39.0±0.4 | 0.14±0.05 | 0.68±0.05 |
| 胸線 g | 膵臓 g | 白血球数 |
リンパ球数 % | |
| コントロール群 | 0.077±0.004 | 0.17±0.006 | 5933±453 | 69.44±1.96 |
| 低分子フコイダン | ||||
| 1.3mg / 100ml | 0.078±0.006 | 0.133±0.02 | 4100±709 | 70.77±1.41 |
| 3.0mg / 100ml | 0.080±0.004 | 0.158±0.009 | 4722±571 | 65.11±3.15 |
| 高分子フコイダン | ||||
| 1.5mg / 100ml | 0.076±0.005 | 0.161±0.011 | 5511±427 | 76.78±3.20 |
| 3.0mg / 100ml | 0.077±0.004 | 0.154±0.004 | 6033±357 | 75.00±2.19 |
表 担癌マウスの体重、腫瘍、脂肪組織、胸腺、脾臓、白血球数及びリンパ球数に及ぼす影響
